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林の中で

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昨日1月17日午後6時3分撮影 林の中でISS

何だかしばらく星を見ていないような気がした。
昨夜は久し振りに星が見えていたが,雪雲が入り込んでシーイングはよくなかった。実際撮影したISSもくぐもった輪郭で,ぼんやりと途切れ途切れになったのでラインを追加した。当たり前のことだが林の中に入ると真っ暗だ。しーんとして世界の端っこに来た感じになる。この感覚が好きだ。騒いでいた鳥たちももう眠りについている。ここでは開けた土地をせわしく駆け抜ける音も,車も,視界を邪魔する光もない。樹冠の先に続く闇には静かに星が光る。こんな闇では落ち葉を踏みしめただけで世界中に届きそうな大きな音となって林中に響き渡る。しゃがんだままでどこまでも続く闇の奥に視線を這わせる。ひっそりと静まり返る意味はこの世では貴いのだ。
 
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続く門口

普通,家にはエントランスというものががあるが,農村のエントランスは門口と言って玄関まで林の中を行く。足下がおぼつかなくなって不安に思う時に木々の中に玄関の暖かい明かりが見える。開拓した村もこうした長い門口がある。こういう主要道路から入り込んでひっそりと建物に行き着くところに品がある。

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吹雪になる朝 伊豆沼

この後すぐ吹雪き始めた。

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新田公民館歴史講座 1月12日

藩政期から代々大肝入,肝入をしている旧家の高橋家の現当主の兵衞氏のこの言葉が印象に残った。
「代々伝わっている物を皆さんにお伝えする責任もあると思って今回もこの講座でお話することにしました」
古くからの家を引き受けてきた昔気質のこの当主の言葉は今の時代を自由に生きようとする若者にも知ってほしいものだ。


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オシラ遊び3

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初雪の北上川

オシラサマがたくさん奉納されている大乗寺へ向かう
北上川を遡る。昨夜からの雪がうっすらと河畔を白く染めている。私は北上川を遡る,この道が好きだ。薄衣城下を過ぎると現代的な橋の奥に北上川に迫るように突き出した尾根を望む。その中腹に無住の寺聖徳山大乗寺がある。

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200体ほどのオシラサマが並ぶ大乗寺

ちなみに平成14年の記録に依れば大乗寺にあるオシラサマは180体で,この内,頭まで布で包む包頭型は165体,頭が布から突き出ているような型,貫頭型は15体だそうです。また,オシラサマの芯となる部分が木であるものが116体,竹が60体,不明4体だそうです。一方,オシラ堂で有名な遠野のオシラサマ(177体)の型は,大乗寺と反対で,貫頭型が131体,包頭型が46体だそうで,地域差があるのでしょうか。「いわてオシラサマ探訪」岩手県博物館2008から

ここからオシラ遊びの話の続きです

「お母さん。オシラサマってこわい神様には見えないね」
若は巫女の手によって小刻みに震えながらよよと泣く女オシラを見ながら言った。
「そうね。可哀想ね。でもこんな悲しみにも耐えて,家に残されたお父やお母のことを案じているんだよ。やさしいオシラさんだね。ある巫女さんが巫女の仕事をやめる時に,オシラサマを手厚く川に流したんだよ。しばらくしたら流れに逆らうようにまた流した場所に戻ってきたっていうよ。それを見た巫女は何ということをしてしまったのか。オシラサマに失礼なことをしたと川に入ってオシラサマを助け出して家に抱いて持ち帰ったというよ。そして最後に大乗寺のお坊さんに相談して預けて供養したとさ。」
「ふーん」
若にとってはオシラサマは怖い神様だと言う人が多いのに,怖いという意味が分からなかった。
「でもね。」と若のお母は続けた。
「オシラサマと約束したことを破ると,口が曲がってしまった人がいるんだって。オシラサマを信仰する人は,二本足や四つ足の生き物は食べないんだって。だから鶏も,卵も,そして鹿や猪だって食べないそうだよ」
「えっ」若は驚いて声を上げた。
「約束なのにこっそりと誰にも知られないならば大丈夫だろうと食べた人がオシラサマの罰を受けたんだね。その上に神罰は約束を破った人だけに現われるのではなく,家族に神罰が現われることがあるそうよ」
オシラサマは約束を守る人は絶体助ける。しかし,約束を守らない人には罰を下すという。
巫女がオシラサマを持って,若の処にやってきた。痛いところやよくしたいところをオシラサマで撫でてもらうのだ。こうすることでオシラサマに治してもらえる。「若はどこか痛いところやよくしたいところはないか」と巫女は尋ねてきた。
若は今聞いた話を思い出して,いらないと手を横に振った。母は怖がっている若に「頭を撫でてもらいなさいな。勉強できるように」
と笑って言った。
若は身を堅くしてお母の両膝に頭を隠した。新しいオセンダクを着た香りの良いオシラサマの柔らかい布がゆっくりと若の頭を撫でていった。
「ありがとうございます。ありがとうございます」若のお母が巫女さんに両手を合わせてお礼を言った。
その夜,若はオシラサマの夢をみた。

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大乗寺のオシラサマ 撮影禁止なので公表されている写真で

大乗寺のオシラサマを見て,私は何か心の中ですとんと落ちるものがあった。
亡くなった妻をどうか守ってあげて下さいと拝み,雪がしきりに降る大乗寺を後にした。


新田中学校「歓喜に寄す」を歌う会

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令和4年度「歓喜に寄す」を歌う会-カラフル67STARS夜空に輝く歌声を-

昨夕12月9日。登米市立新田中学校恒例の「歓喜に寄す」を歌う会が行われました。
67人のカラフルな星々である新田中生徒が歌うなか,少しオレンジがかった今年最後の十六夜の月がそろそろと昇ってきました。33回目を迎えるという「歓喜に寄す」は,長沼花火の記録を越えて,長く続く新田の行事の一つとして定着しました。

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令和4年度「歓喜に寄す」を歌う会-カラフル67STARS夜空に輝く歌声を-

67人のカラフルな星々である新田中生徒達の歌は12月の深く青い星々が輝き始める寒天へ立ち昇り,やがて塒に急ぐマガンやヒシクイ達の鳴き声と混じり合っていきました。

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令和4年度「歓喜に寄す」を歌う会-カラフル67STARS夜空に輝く歌声を-

私が何よりも素晴らしいと思うのは,生徒達が野外で,空を仰ぎ,天に向かって希望の歌をあきらめることなく歌い響かせ続けていることです。
この世に33年以上にわたって,希望の歌を歌いつづけている新田中学校の生徒の皆さんに心からありがとうと言いたいと思います。



今日,新田中学校「歓喜に寄す」を歌う会

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新田中学校 ヒマラヤシーダの電飾

今日12月9日16:00~新田中学校「歓喜に寄すを歌う会」です
ぜひいらして下さい


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昨夕12月8日の新田中学校とISS通過

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2021年 震災から10年の第32回「歓喜に寄すを歌う会」
空も賑やかです


この頃のこと2022

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一人劇場

この頃
このブログの記事を更新しようとよく思う
しかし言葉がよく出てこない
以前は湧き上がるようにこんこんと
言葉は生まれていたが
井戸が涸れたように
がらんとして
心の奥底が干からびたようだ
開いたばかりの銭湯の中で
桶がコーンと鳴っている
あの音のようだ
現実が遠く感じる
自分からすべてが一歩退いている
生々しい喧騒がまるで木魂のように遠ざかって行く
薄い膜に覆われているようで
リアルに感じられないもどかしい感覚
信じられないことだが
自分の目の前で
自分が「ぽきっ」と折れるような
音が彷徨っている

夕焼けって
なんでこんなに
毒々しい色をしていたのだろう

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マッスに挑む2022 蕪栗沼

誰かわたしを
この世に呼び戻してくれ


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マッスに挑む 伊豆沼