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トンネルを抜けて見える星空

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トンネルを抜けて見える星空    トンネル部分に減光フィルターを2枚重ねてもこの明るさだ

峠には隧道があった
分水嶺にもなっていた
その隧道付近に珍しいシロチョウがいると聞いたのは
そのことを教えてくれた星さんが死んでから随分経った頃だった
辿り着いた峠の隧道の入口で飽くことなく山並みを眺めた
トンネル内に照明がないものを隧道だと信じ切っていた
しかし今はすべてトンネルと言うらしい
隧道と称したのは昔のことだった
秋深くに峠に立つと葉を落とした木々が果てしもなく続く
低くなった太陽の穏やかな光が短い午後に降っている
一人で写真を撮る
先程から小一時間も過ぎているが,通る車もなにもない

その時。あっ,
シロチョウか
白いチョウが隧道の上の林から空に舞い上がった
どこか疲れた飛び方だが飛ぶラインはしっかりしている
峠の上をしばらく旋回して
遥か遠くにかすかに白くなって小さく見えている海の方に
飛んでいき
白い海に溶けて見えなくなった
見届ける者がいることは幸せなことだぞと
わたしはシロチョウに語り掛け
世界に独りごちてみる
もう何度この峠に登った来たか
その度に一気に下りる下り坂に
かかる時間は短くなった
あっと言う間に麓に着く
どうしてか麓に着くと
自分にまとわりつく空気が重くなる
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川べりを飛ぶジャコウアゲハ

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北上川を飛ぶ 橋は登米大橋

7月31日の記事に河北新報に載った登米町のジャコウアゲハを見てきた。
新田駅のある風景写真展にいらした登米町の方にこのジャコウアゲハの大発生のことをお聞きしたら「知らない」と言う。あの記事からもう3週間も経つので期待薄で行ってみた。しかし,川べりを頻繁に飛ぶジャコウアゲハに会うことができた。

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オス

まずオスがいっぱい居てゆっくりと川に沿った草むらを飛んでいる。
オスをひと目見た時にアゲハモドキを思い出した。黒い羽と後羽の赤い斑紋が実に良く似ている。むしろアゲハモドキはこのジャコウアゲハを真似たものとも思えた。特に腹にある黒と赤の模様はアゲハモドキとそっくりだ。


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メス

オスを20匹見るとやっとメスが現われるという感じでメスが登場する。
メスは咲き始めたタデの花を回りながら待っていた。
特に前羽が白いので黒いのはオス,白いのはメスと区別できる。メスはまるで黒色が脱色したような雰囲気だ。基本色は黒なのだろう。

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前羽の透かしが美しい

留まっている羽化したばかりの蝶をよく見ると透かしが美しい。これを「紗」と言うのだろう。夏の衣をまとったこのアゲハは実に夏空に映える。ウスバキチョウのようにどこかか弱く,優雅で貴婦人を思わせる容貌だ。逆に腹の模様はどぎつい生命感を感じさせる。


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蛹から羽化したばかりのジャコウアゲハもいた

羽化したばかりのジャコウアゲハはセイダカアワダチソウに留まっていた。そしてこの蛹もセイダカアワダチソウにあった。ジャコウアゲハの食草ウマノスズクサだということだが近くにいっぱい繁茂していた。このジャコウアゲハの発生で草刈がストップしているのかとにかくもジャコウアゲハにとっては棲みやすい環境になっている。それはとてもいいことだ。草刈の時期をずらすという方法で生き物を生かせるというのであればそうした取組を続けてほしいと思った。 

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羽化したばかりの蝶には仲間がよく寄ってきて声を掛けていた

北上川は眩しい日差しの中,飛び交うジャコウアゲハにエールを送っているように感じた。

伊豆沼で見られなくなったチョウ

スミナガシおっと,スミナガシ

ふとチョウのことを書いてみたくなりました。
伊豆沼でスミナガシを見つけてもう10年以上経ちます。沿岸部ではよく見るアオスジアゲハやスミナガシですが,伊豆沼でシックに黒く光るスミナガシを見た時には全身が凍り付くような感動に包まれました。捕虫網を持つ手が震えました。タテハチョウの仲間は大きめで見栄えがよく敏捷に飛ぶ速さや力強さは格別ですね。
しかしそれ以来伊豆沼でスミナガシを見ていないのでいなくなってしまったのかもしれません。思い返すと10年単位で山の植生は変わるし,それにつれて伊豆沼で見られるチョウも随分変わりました。
例えばウラギンスジヒョウモンチョウもこの頃全く見ませんね。そこで丁度私がスミナガシに出会っていた平成7年の高橋雄一氏の「伊豆沼・内沼および周辺地域の昆虫」を見てみました。するとチョウ目は7科58種が報告されていました。

ヒオドシヒオドシ

その内容はセセリチョウ科7種,アゲハチョウ科5種,シロチョウ科6種,シジミチョウ科11種,タテハチョウ科20種,テングチョウ科1種,ジャノメチョウ科8種となっている。
実はこの中のタテハチョウ科の中にスミナガシはなかったのです。
ちなみに伊豆沼で見られたタテハチョウ科の20種を以下に掲げてみます。
ウラギンスジヒョウモン,オオウラギンスジヒョウモン,ミドリヒョウモン,ウラギンヒョウモン,メスグロヒョウモン,イチモンジ,アサマイチモンジ,コミスジ,ミスジ,ホシミスジ(これは珍しい),オオミスジ,キタテハ,ルリタテハ,ヒオドシ,クジャクチョウ,アカタテハ,ヒメアカタテハ,ゴマダラチョウ,コムラサキ,オオムラサキの20種です。

日曜6.10 061-2sゴイシシジミ。そろそろゴイシシジミの出ている頃とササの葉の裏をひっくり返してみました。あらっ,雨を避けるように4羽のゴイシシジミを見つけました。葉の裏のアブラムシを食べていました。

日曜6.10 162-2sダイミョウセセリです。西日本では後翅の真ん中に白い斑がはっきりと浮かび上がるそうです。心なしか,うっすらと白く見えていますね。

こうして見るとチョウも生息状況が変化するとその影響が直撃されるものだと感じます。また環境の変化は周囲の民家の屋敷林や庭の植物等と深く関わってくるのです。どうも平成7年辺りを境にチョウを取り巻く環境が大きく変わったようです。一体何が原因なのでしょうか。今となっては予想することも難しいですね。

伊豆沼 439-2s
ウラナミアカシジミ


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昨日生まれた命

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凛々しい姿です。
多分昨日辺りに生まれたばかりでしょう。

さんぽ道75 069-2trs
美しい模様

しかし美しい模様です。
この模様にはどんな意味があるのでしょうか。
そしてどんな規則性が隠されているのでしょうか。

さんぽ道75 084-2s

数十マイクロメーターの驚異的な緻密なデザインに驚かない人はいないでしょう。

さんぽ道75 288s
貴婦人の後ろ姿です。


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産みたての卵いりませんか

ハス 061-2s
産みたての卵

今日はカラタチのところに行って,卵やら幼虫やらを探しました。
するとアゲハが飛んできました。
私はすぐ身をひそめ,動かないでいました。

アゲハは産卵場所を探すように飛び回り,カラタチの先端に卵を産み付けました。留まって0.5秒,産み付けるのに腹をまげて1秒。早業です。
そうか,これから成長する葉の最も若い葉に産み付けたか。さすが。アゲハもよく知っているなあ。

アゲハが飛び去ってすぐ写真を撮りました。産んでから10秒もたっていません。

産みたての卵いりませんか。

このままにしておきましょう。立派なアゲハチョウになるまで。


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