二十六夜待ち

名月とISS 199-2s
夜明けに沈む月


二十三夜待ち塔の石碑は以前よく見たものです。

十五夜の満月が過ぎ,日に日に月の出は遅くなり,二十三夜は下弦の月となる。その月の出は日が改まる夜中過ぎということになります。
月待ちの行事はやがて庚申信仰と結びついて,念仏を唱える講がよく開かれました。一晩中念仏を唱え,邪気を払いました。ここで庚申信仰の図像等を見てみましょう。庚申塔の本尊は青面金剛。下に「見ざる,聞かざる,言わざる」の猿が描かれています。この意味が「私の罪を見ないで下さい。聞かないで下さい。言わないで下さい」ということなのです。
庚申の夜は60日ごとにやってきます。ですから年に6回ほど庚申の日があります。この庚申の日の夜は寝ている人の身体から虫が抜け出して,天帝にその人の罪や穢れを報告する夜なのです。ですから人々はこの日の夜だけは夜更かしをして念仏を唱えたりしながら罪や穢れを払っていたのです。

ひころの里 351-2s
庚申塔 登米市中田町浅水長谷寺

「見ざる。聞かざる。言わざる」の猿がいますね。私の罪を見ないで下さい。聞かないで下さい。言わないで下さいという意味があるのです。

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雲海を照らす月 栗駒山

その男が吹く能管は月の上に吹く風を思い起こさせた
男は言った。
「能管はあの世に響く音。龍笛はこの世に響く音です」

十六夜の月の出を待っていたさよ子は,その能管の音に誘われて川原に下りた

その日からさよ子は男の笛を聴くために,弁当づくりが始まった。
十六夜の月の夜だった。
男が能管を吹いていたのは三年前に死んだ妻の魂を鎮める意味もあった。一通り吹いた後人影を感じて見ると,死んだ妻が居た。
いや,初めて会ったさよ子という人だった。死んだ妻にそっくりであった。

月夜のホタル21-2s
月夜に飛ぶホタル

日々,弁当は二つつくられた。
17日の弁当は立待月の弁当と言った
18日の弁当は居待月の弁当と言った
19日の弁当は寝待ち月の弁当と言った
20日の弁当は更待ち月弁当と言った
21日の弁当は下弦の月弁当と言った

男の笛の音を聴き,さよ子は月の光で弁当を食べた。

男は言った
「明日は二十六夜です。来てくれはりますか」

名月とISS 077-2s
伊豆沼に降りる月

月齢26,二十六夜の月の夜。
さよ子は夜道を弁当を二つ持って急いだ。
まだ大文字山の山の端はほの明るくもなっていなかった。なにせ二十六夜の月の出は午前3時だからだ。

よく晴れていた。星もよく見える。

ところが,今日は月が昇らないと男は言った。
今日は妻の三回目の命日だと言った。二十六夜の晩に妻は死んだ。今夜の笛は妻をあの世に送り返す笛にすると言う。

鋭い音を立てて能管は鳴り始めた。

世界谷地 017-2s
世界谷地のニッコウキスゲの花に昇る月

妻の面影を振り切るように笛の音はやんだ。
男はすぐさま能管を思い切り折った。

あの世の妻と交信できる笛を男は自分から断ち切った。



この話は以前紹介した「京都人の密かな愉しみ」という私の好きなテレビ番組の「月待ち」という話をなぞってみました。
ご了承下さい。

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十六夜の月(再掲)

十六夜十六夜の月写る(長沼)

 今日の記事は以前に載せたものです。十六夜の月のことを書こうとして,十六夜の月の写真を探していて見付けました。ご了承下さい。

 日本の名随筆「宙」を読んでいましたら,草下英明氏の「建礼門院右京大夫の見た星空」という随筆があっておもしろく読みました。昔の星空を記録した文は少ないそうです。

 『建礼門院右京大夫集』より,その部分の訳だけ載せます。
[詞書] 十二月一日頃だったろうか、夜になって、雨とも雪ともなく、ぱらぱらと落ちて来て、叢雲があわただしく往き来し、すっかり雲に覆われはしないものの、ところどころ星が消えたり光ったりしている。私は衣(きぬ)を引き被って横になっていたが、夜が更けた時分、丑二つ(午前二時半)頃かと思った時、衣をどかして空を見上げると、みごとに晴れて、薄藍色の夜空に、異様なほどの光を放つ大きい星々が、いちめんに現れていた。非常に心惹かれるさまで、縹(はなだ)色の紙に、金などの箔を散らしたのによく似ている。今夜初めて見たような気がする。今までも、星月夜は見慣れてきたけれども、これは折も折とて、格別な気持がするにつけ、ただ物思いに耽るばかりである。
月をこそながめなれしか星の夜の深きあはれを今宵知りぬる(家集252)

[歌] 月を眺めながら物思いに耽ることは、これまでもし慣れてきたけれど、このような星空の夜の深い情趣は、今夜初めて知った。
さて,この記述は一体,いつの空を見て書いたのでしょうか。いろいろな説はあるようですが,文治2年,1187/1/12(ユリウス暦)で星図を見てみました。場所は琵琶湖のほとり坂本,時刻は「丑二つ」午前2時前。

星図1187
1187/1/12の星空
0.6等の土星,-2.1等の木星,-0.05等のアークトゥルス,0.98等のスピカなどが豪華に並んでいます。天気が優れなかったと書かれていたことから,真夜中に飛び起きて見た,この星空はきれいだったと思います。しかし,825年前の星が再現できるとは,ステラナビゲータというソフトもおもしろいですね。

沈む三日月沈む三日月(再掲)

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月に思う

満月-2s
今夜の月 満月

山頭火という人は不思議な人です。

昭和11年5月のことでした。
山頭火は,山形県鶴岡市に入りました。鶴岡の和田光利(あきとし)の家に泊まっていました。
ある日のこと,山頭火は浴衣に手ぬぐい一本下げて,銭湯に行ってくると言って和田の家を出ました。
そしてそのまま行方不明になったのです。
和田は必死に山頭火を探しました。しかし見つかりませんでした。山頭火が見つかったのは仙台でした。仙台の俳人佐藤露江の家にひょっこり顔を出したのでした。昭和11(1936)年6月24日だといいます。彼は鶴岡から浴衣に手ぬぐい一本下げて,仙台までとぼとぼ歩いてきたのでした。
そのまま4日間仙台にいて,平泉にも行きました。平泉,鳴子に行っています。

その平泉で詠んだ句が
「ここまで来し水飲んで去る」
このあとの6/29鳴子に泊まっています。
よびかけられてふりかへったが落葉林

あてもない空からころげてきた木の実

月へひとりの戸はあけとく

彼の句には,どうしようもなく独り身であることの「さみしさ」が語られます。「遊離してやまない魂の姿」は,月に対しているときに特に刺激されていると言っていいかもしれません。

さて,山頭火が鶴岡から忽然と姿を消して,仙台にたどり着いたのが昭和11(1936)年6月24日といいますから,満月(この年の6月の満月は5日)をはさんでの前後に鶴岡から仙台までを満月近くの月明かりにさそわれて,歩き出したに違いありません。つまり鶴岡から夕刻東に出始めた満月を見て,東へ東へと憑かれたように歩き出したのかもしれません。

明日は十六夜の月。
十六夜の月の話をします。

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あの日で思い出す

朝9日 035-2s
春の雪ちらつく朝の電車

あの3月11日の夜
激しく降った雪がやんだ夜
避難所づくりに奔走した
ストーブを運び体育マットを敷き
トイレを用意し学校のプールから何回も水を汲んだ
濁った咳が絶え間なく聞こえ,うめくような声と
からからに乾いた空気の避難所から
発電機の音を避けて外に出た

急に無音の世界が
自分を押しつぶすように
のし掛かってきた
満天の星空が迫ってきた

あれから毎日
片付けと避難所のトイレ掃除と水汲みを続けた
食べ物をみんなに配って歩いた
倒れた家族の看病をした
夢も見ない泥のような眠りの夜が続いた
買い出しに出かけた
ある日,やっと肉を手に入れ,家族にカレーを作った日があった

あのカレーの味が忘れられないと
何年かたって下の子どもが言った



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見逃せない夕方の空

星カシオペア 119-2s
見台で轟く金

この頃の夕方の空は見逃せませんね。
-4.6等の神々しいばかりに輝く金。私には轟いているような感じに見えます。そしてその北西に火。火の北西に天王星。
変光星のミラは最大光度を迎えようとしているし,何よりもエンケ彗星も金星の南南東に7.8等と暗いですが見えています。改めて見ても見どころてんこ盛りの夕方の空です。

星カシオペア 016-2_-1_-1-2_fused-2-2ロゴ入り-s
昨晩2/18の夕方の西の空

昨日の西の空は条件はあまり良くなかったのですが,写真を撮ってエンケ彗星やミラを確かめようとしました。
ステラナビゲータの星図と写真を見比べながらどの星か一つ一つ確かめていきました。ステナビにはこう写ります。

西の空-2
ステナビの星図

実際カメラの写野角通りにセットしておおよその構図を決めたりすると確かめやすいですね。カメラも自分のカメラの機種を選択すれば撮影もやりやすくなります。星の撮影をする方は楽ですね。

星カシオペア 102-2s
雲懸かる

実は何で星に戻ったかというと45Pの撮影に前日失敗したのです。全然違う方向の空を写していて気付きませんでした。楽に撮ろうとするから駄目なんですね。夜明け前の寒い1時間が準備なしで台無しにしたのです。それで悔しくて,悔しくて・・・。

とまれみよ2-2gs
とまれ みよ

カシオペアを撮影していたときにこの看板を見付けました。
そこでカシオペア通過後普通電車を待って撮りました。


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