2020/06/29

晴れだした9時過ぎ D810 F5.6 267s ISO320 ポタ赤トースト
午後7時過ぎの雷を伴った雨の後,やっと晴れだしたのは午後9時を過ぎていた。晴れるに連れて雲間に隠れていた上弦を迎えたばかりの月が高く,
ホタルの飛び交う沢を照らしだし,まだらな陰翳をそこここにつくりはじめた。
今年も
ホタルに誘われここに通い出して5回ほどを数えるが,
ホタルの数はあまり増えず例年のような乱舞は今年は見られそうもないようだ。
瀬の音とカジカガエルの鳴き声と藪の中を追いかけ合う小動物達のうなり声が時折私を現実に引き戻した。
ホタルが多いとか少ないとかはやっぱり大切なことかもしれないが,少なければ少ないで一匹一匹をゆっくりと眺めることが出来る。実際時計も持たずここにいる私には草陰に隠れて光っているメスのゲンジボタルと戯れたり,その光に誘われてやってくるオスの光跡がカメラの前をかすめていけば数は少ないけれど楽しい写真になる。
川の中に三脚を立ててポータブル赤道儀のスイッチを入れる。沢の中だから取り囲むような木々や竹林の隙間から北極星を探し,極軸を合わせる。ところが,星景モードで撮ると星が流れる。そこで星モードにして撮った。トーストという機種である。電源が入ると緑色のランプが点灯するが,この光が
ホタルにとってはまた不思議に見えるらしい。近寄ってきては機械の光だと分かると飛び去っていく。自分のヘッドランプを点滅させたりして
ホタルはどんな行動をするか,近寄ってくるのか,光を強く出したりするのかと暇に任せてお手軽な実験などしてみるが,その内ホタルの方もこりゃいたずらだなと相手にもしなくなる。カメラの方は自動撮影にしているが,時計がなくてもけっこう雰囲気でもう三分だと感じられる。星空は人を飽きさせることがない。いて座のところに-2.7等の木星が一際強い光を放っている。その右のさそりのアンタレスを寂しくさせるほどの輝きである。そして明るすぎる木星の南西側に土星。西へ目を向けると月がもうそろそろ沈むかと思わせる高さにあって大きな木のてっぺんに懸かり始めている。(3枚目の写真)

上弦の月が沈むまで F22 ISQ100 10000s
一枚撮りで月の沈むまでをどこまで撮れるかとずっとシャッターを開きっぱなしにしてみる。画面で写ったのは10000秒分である。10000秒÷60=166.6で166分。2時間46分となる。ホタルが何匹もカメラの前を通過しているが長時間露光で撮ると消えてしまう。強く絞り込むからかもしれない。

南の空
ふと気が付くと南の空が美しい。木々の切れた沢沿いから南の星がきれいに見えている。沢の水面に木星やアンタレスが写り込んでいる。例年だと忙しくこの画面を横切るホタル達の光跡が重なるところだが今年はこのように少し寂しい。

違った夜のひとコマ
しかしこの山里は晴れると
天の川が実に美しい。遠くの高地にわざわざ時間をかけて遠征しなくてもここに来ればいいのさ。
天の川いよいよ高く
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