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北帰行始まる『雁平野』

雪の朝
12

2010/2/18 ガン類渡来情報(飛び立ち調査結果)
伊豆沼・内沼 37,629羽 蕪栗沼 44,734羽 化女沼 6,260羽
ガン類の北帰行が,例年より2週間程度遅れているもようです。



 ここ2・3日,朝の澄み切った高い空を白鳥の群れが鳴き交わしながら飛んでいきました。北帰行です。よく晴れた朝早くに北帰行は始まります。
 この声を聞くと,私は(またね。元気でね。来年また会おう。)とつぶやきます。冬鳥たちが帰ると,沼はがらんとしてさびしくなります。このさみしさで,春を知るのです。

今日の本
『雁平野』 田辺一雄 同時代社 1996
雁平野―鳥と沼のある暮らしの七話雁平野―鳥と沼のある暮らしの七話
(1996/02)
田辺 一雄堺 博

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 古きよき伊豆沼を知るにはとてもいい本です。「鳥と沼のある暮らしの七話」一話一話が沼の変化とともに紡ぎ出される織物のようです。

東京は桜,宮城は雪『蠅』

ねこ宮城は雪
河津桜東京は桜(河津桜)

 東京は桜,宮城は雪。今の時期の日の出は1分しか違わないのに。東京は6.1度,仙台は1.7度,2月の平均気温。やっぱり違うかな。日本列島の長さを感じます。

 今日の本
『日輪・春は馬車に乗って』横光利一
日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (岩波文庫 緑 75-1)日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (岩波文庫 緑 75-1)
(1981/08)
横光 利一

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横光利一の読後の新鮮さは今でも憶えています。短編の醍醐味というものを教えられた気がします。特に文庫本でも10ページしかない『蠅』のラストには唸りました。わたしにとってはコルターサルの『続いている公園』と同じくらいのショックを受けました。まさに映画です。それも上質な。

瞬間,蠅は飛び上がった。と,車体と一緒に崖の下に墜落していく放埒な馬の腹が目についた。

この一文だけで,文学を一新した横光の力量にただ頭が下がります。『蠅』は大正12年5月,「文藝春秋」に載りました。横光26歳でした。

賢治得意技キノコ採り『賢治小景』

春の光どことなく春の光が感じられます

 賢治がキノコ採りがうまかったという話を知っていますか。
 賢治のキノコ探しは,いいキノコを見つけると,その場所は何時間くらい陽が当たるのか,どれくらいの傾斜なのか,どんな林か,水分はどれくらい含んでいる土かを調べて,あとは似たような地形の場所を探すだけだと言います。
するとやはりいいキノコが見つかるそうです。
 さすが地質学者的なキノコの探し方ですよね。

今日の本
『賢治小景』板谷栄城 熊谷印刷
賢治小景賢治小景
(2005/12)
板谷 栄城

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 2001年の朝日新聞岩手版にコラムとして載せられたものを集めています。ひとつのコラムが3分で読めます。
ところで,『銀河鉄道の夜』の中にこんな文章が出てきます。

(ひかりといふものは,ひとつのエネルギーだよ。お菓子や三角標も,みんないろいろに組み上げられたエネルギーが,またいろいろに組み上げられてできている。だから規則さへさうならば,ひかりがお菓子になることもあるのだ。ただおまへは,いままでそんな規則のとこに居なかっただけだ。ここらはまるで約束がちがふからな。)

 この文を引き合いに出して,斎藤文一氏はアインシュタインのE=mc二乗の質量・エネルギー同等の法則の読みを賢治が行っているとみている。

エネルギーそのものは形がないのであるから,言い方をかえて,形のないものと形があるものとの同等性と言った方がよい。または質量はエネルギーの一形態と言った方がよい。この考えは素粒子論において,重要な働きをしている。科学から物質的実体という概念がとりのぞかれたのである。『アインシュタインと銀河鉄道の夜』斎藤文一第2章「四次元論」の人よりp106-107

なるほど形があるものも,ないものもエネルギーという点から見れば,同じになるのだ。これはわかりやすい。違う次元から見ると同じになるという規則。賢治のメンタルスケッチそのものではありませんか。