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栗駒正藍染に生きる

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夕暮れの道に覗く栗駒山

 栗駒山に行くと山歩きばかりだが,その他にも興味深いことがたくさんある。その中に栗駒の正藍染めと呼ばれるものがある。最も古来の染め方を現代に伝えている点で,全国でただ一カ所ここだけだそうである。大変価値のあるものだと聞く。
 藍の種を蒔き,収穫し染め地の麻もすべて自分の家でつくり収穫する。そして藍玉から染め汁まですべて自分の家で行うそうである。全く昔通りの染めの環境もそのままなのです。
 その正藍染めの特色の一つが「冷染め」だそうだ。
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初代千葉あやのさん(64歳の頃)

 初代の千葉あやのさんは,明治23年生まれ、昭和55年、90歳でなくなった。頑なに正藍染めを守り続け,昭和30年に人間国宝(重要無形文化財)になった。生前,お客が来なくても,売れなくても,この技術だけは絶やすなと伝えていたそうである。
 
 穫れた藍の葉を普通は陶製の瓶に入れておがくずなどを燃やした中に入れて人工的に暖めて発酵させる。しかしここの正藍染めは自然の温度のままに発酵させる。時間がかかるのです。すべては自然のままにである。だから正藍冷染めと呼ばれる。夏に収穫した藍の葉は,次の年の正月まで乾燥,貯蔵の過程を経て寒い中,藍玉づくりに入ることになる。一方染め上げる麻の方も収穫し糸にして紡ぎ,機織りを続ける。
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この深い藍の色

 正藍染めは,そのすべてが自然からもたらされるものである。
 種まきから育て方,収穫,乾燥,灰汁,そしてさらしも近くの二迫川の水で。何を簡略化してもだめ。すべて自然の,この栗駒の場所の,この栗駒のこの水で。例外は許されない。
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すべては自然からいただくことでよいものをつくるという心

「藍の色は藍神様がくれる」と二代目のよしのさんは言っていたそうだ。
そのよしのさんも平成21年,99歳でなくなった。

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よい水をもたらすブナ

現在は昭和生まれの千葉まつ江さんが伝統を引き継いでいる。

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栗駒文字地区の山里に住む人の山に対する心がわかったときでもあった。

現在,放射能の影響による風評被害で山菜やきのこ類がまったく売れなくなったと聞いた。この辺りはホットスポットにもなっていたという。自然に寄り添い生きてきた伝統と人工的なものが自然を奪い去るという前線がひしめき合っている栗駒を思うと,今日登った大土ヶ森の山の姿を車から遠く眺めながら,複雑な思いで帰路についた。

この記事を書くにあたって,関連するサイトや記事を参考にした。

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