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自鏡山へ行く-巨木の神殿-

自鏡山 812s
自鏡山314m

栗駒山へ行くときには栗駒岩ヶ崎の町を通る。
その栗駒岩ヶ崎の町の北,岩手県との県境付近に自鏡山という標高314mの山がある。この山が素晴らしい山だということをある本で初めて知った。

多種共存の森: 1000年続く森と林業の恵み多種共存の森: 1000年続く森と林業の恵み
(2013/10/29)
清和 研二

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森林に詳しい友だちから紹介してもらったこの本は今自分が住んでいる付近の山や栗駒山のことがたくさん載っていてとても興味深く読んだ。

自鏡山 657s
冬の林の小径

のっけからこの自鏡山をべた褒めである。まえがきの最初の3行目からすぐこの山が出てきて
そこに残された森に一歩足を踏み入れると,別世界である。巨木たちが天を衝いて聳え立っている。一番太そうに見えるブナとコナラの胸の高さでの直径を測ってみたところ,それぞれ1.3m,1.4mもあった。大人三人が手をつないでやっと抱えるほどの太さである。それだけでない。森の中を歩くと直径1mほどのイヌブナ,イタヤカエデ,イヌシデ,ハリギリ,ケヤキなどが30mから40mおきに次から次へと現れてくる。まさに巨木の神殿である。今どき,このような森が残っていること自体が奇跡のように思える。
別世界,巨木の神殿,奇跡・・・。

もう行かずにはいられない。

自鏡山 563s
ブナ立ち並ぶ

殆ど里山であるこの自鏡山は南部神楽発祥の地として有名で,もともと修験者たちが住んだ信仰の山だった。もともと神楽も修験者たちが奉納したものだから肯ける。吾勝神社がある。その参道のスギの木を進むと早速ブナの巨木が見えてくる。信仰の山だから伐採を免れ今の時代に伝えられてきたのだろう。

自鏡山 790s
ブナの重なり

著者の清和氏はこの本の中で写真入りで自鏡山の直径124cmのコナラと記念写真を撮っていますが,このコナラ,樹齢では400-500年くらいになるそうです。驚くべき時間の凝縮です。神殿を歩いているという意味がわかってきます。そう考えると何気ないブナの並び方や隣り合うスギやミズナラがどんな経過を経てここに隣同士でいるのかと思います。
ただ素人の私でもわかったのは尾根沿いに大木が残されていること。よく伐採現場に行くと尾根沿いだけに木が残されていることがあります。この信仰の山の木々に鉈を入れたとき,そのような伐採の規則に従ったのではないかと思われました。やがて見晴らしのきく上に着いて周囲に目を配ると周りの山は殆どがスギの人工林でした。この山だけが聖域のように皆伐と植林を免れてきたようです。

確かにブナとイヌブナも混在しています。注意深く木肌や下に落ちていた実などを見て分かりました。

自鏡山 592s
見事なごついブナ,迫力満点でした。

雪を踏みしめて歩くと,様々な動物の足跡がついています。雪を蹴散らしてふかふかした落ち葉をかき分けたのはカモシカの仕業でしょう。たった314mの山なのに何という迫力を見せつける山なのでしょう。

著者は続いて言います。
数百年いや数千年かけて守られてきた貴重きわまりない「文化財」ともいえる巨木の森を日本は短期間に失った。・・・巨木林の存在すら知らない世代にすばらしい文化を見せてやることができないということは,われわれは取り返しのつかないことをしてしまったのである。


自鏡山 585s
ブナの根元


イヌワシのことを書いた前の記事。さっそく友だちがイヌワシがいなくなってからでは遅いよ。すぐなんとかしてと連絡を寄越しました。ハッとさせられました。イヌワシ,栗駒山,自鏡山,伊豆沼,マガン,この頃見かけなくなったチョウたち,コンクリートで固められたタイリクバラタナゴたちが泳いでいた流れ。このままでいいのか。嘆いていてばかりではいられないんじゃないか。


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