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春を待つ心

梅鉄道 017-2gs
ウメの花電車 東北本線 新田-石越

 東北の春というのは,おぼろな春霞の背景から少しずつ浮き上がってくるものですから,やがてある朝に待ち続けていた春がはたと存在感を表すことに驚かされます。長く待ち続けて心があきらめ色に染まる頃にやって来るのが東北の春です。その喜びはいつかはと待っている手紙が何年も経って,忘れていた時にやっと届く驚きの気持ちにも似ています。こんなおぼつかなさが東北の春にはあります。これだけすぐ欲を満たすことに慣れた資本主義という現代で,遠くのものを我慢強く待ち続けるテンポがまだ東北にはあるのです。その待ち遠しいという明確さに欠けた時間が実は私たち東北人の心を育ててきました。それは一年中青々とした常緑の,生命に満ちあふれて平均化された南方の気候にはない「思い」でしょう。

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春を待つ夕暮れ

実際,太宰治の「津軽」に出てくるような,客人を迎える主人の行き過ぎるくらいのもてなしや寺山修司の喜びの奥にひそむ悲しみ色は,厳しい雪と寒さに一旦死んでしまう東北の景色が作り出しているものです。だからこそ一旦死んでしまった死者の景色から再生する奇跡に満ちた春を迎える喜びが東北には満ちています。

そんな春が今やっとこちらにもやってきています。
うれしいです。


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