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本の快楽「耳をすませば」

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冬日

2019.12.6現在宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター発表によれば現在の伊豆沼の鳥は下記の通りです。
ガン類    116,982羽
ハクチョウ類  2,110羽
カモ類     1,316羽
合 計    120,408羽

今日は映画「耳をすませば」の話をします。
「耳をすませば」は,近藤喜文監督1995/07/15公開で,中学3年生の男女,文学少女月島雫とバイオリン製作者を目指す天沢聖司の清々しい交際と恋を描いた作品です。劇中にカントリーロードの曲や『イバラード博物誌』の井上直久の絵などを使った工夫が光ります。この映画は,「本」が二人の出会いのきっかけとなります。「本」がストーリーの主軸になり,物語が一層味わい深くなっていると私などは気に入っています。

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二人の出会いのきっかけは貸出しカードの名前

月島雫がある時,借りてきた本の貸出しカードを見てみると「天沢聖司」という名前の人が既にいろんな本を借りていることに気付きます。この「天沢聖司」という人はどんな人だろうと雫は思います。現在では個人情報保護という観点から,この図書館貸出しカードは廃止され,全てバーコードになっていますが,私の年代からするとこの貸出しカードはなんとも懐かしいのです。例えば誰も借りていなかった本を自分が最初に借りて名前が記録されるという快感を覚えている方もおられると思います。世界でたった一人,自分だけがまるで希少な化石の最初の発掘者になった気分になります。また誰も手を付けていない本を自分が手にすることができた喜びは,探検の征服者の達成感のような高揚した気分になります。ずっしりとした重みのある本はそのまま世界の重さに匹敵しているという自覚。少し古くなって黄色がかった紙は厚手の昔の荒い漉(し)き方が分かるようで時間を飛び越えた満足感。頁をめくると軽くくっついているためピリピリと音がして次の頁が現われてくる未知への羨望。貸出しカードには広い世界を初めて覗くのが自分だという快楽伴っています。そんな隠れた味わいが「耳をすませば」の本や貸出しカードや図書館に通奏低音のように流れているのです。

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これらの本は本当にあるのでしょうか

さて映画「耳をすませば」の中に出てきた「ウサギ号の冒険」「炎の戦い」「とかげ森のルウ」「フェアリーテール」という本は実際にあるのでしょうか。これらの本の題名で検索してみました。
残念ながらこれらの題名の本は実際にはありませんでした。「ウサギ号の冒険」は,例えば「ノーチラス号の冒険」から援用した架空の題名なのでしょう。昔の人も「和歌」の完成度で作者の知力・技巧・好みを見極めたことはよく知られていますが,相手を知るために本が代用されるというのも相手を知るために重要なファクターになるはずです。まさに本は人なりです。この本を読みこなすだけの読書の力量を備えた人と品格。そうしたことも貸出しカードの名前は物語っています。

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朝靄煙る朝 今日12/18撮影

私も本が好きで,独身の頃の借金は本だけでした。とにかく当たり構わず注文し,給料日に毎月一定額を支払いながらまた注文するという約束を店と交わして本を手に入れていました。ですから20年前に買ってまだ読んでいない本もあります。この癖は一生抜けそうもありません。この夏も柳田國男全集(ちくま文庫版)全40巻を買ってしまいました。


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