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春の光

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春の光-ブナ林- 栗駒山にて

林床に雪が残る根回り穴の続くブナの林を歩く。
四月になるともう足もとの雪はシャーベットになり踏み抜くことも多くなる。踏み抜いた穴から雪解けの水の流れる音が湧き上がることもある。
林に残る雪の上を見ると冬の林がよく分かる。
雪の上に大きな枝などが散乱していると春先に大きな嵐があったり,何回かの春の湿った重い雪に枝が耐えられず落としたからだ。今年は案外ときれいな雪が残っている。普段通りの冬が来て積雪もまずまずだったろうと感じられる。それでも真新しい倒木を見つけると厳しい冬を生き残ることの難しさに思いをはせる。倒れてもなお新しい芽をたくさん付けたままだ。あくまで今年の花や葉を計画通りに付けていこうとする。雪の中に花を咲かせることもある。ブナの葉が開こうとすると幾重にも包み込んでいた赤茶色の芽鱗が雪の上にたくさん落ちてくる。この展葉の時期のブナの林は実に美しい。林床に残る白い雪と湿った大気を身に纏った黒々とした樹幹。そしてブナの葉の柔らかい緑。下から白,黒,緑の層を成して雨の日には霧をたなびかせている景色は一年の中でも是非見ておきたい景色となる。もう展葉の時期にもなると鳥のさえずりや鮮やかな羽の翻りも一際目に沁みる。


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春の訪れ-湿原の開口-

春先のブナの林を歩く楽しみの一つが湿原の発見である。
藪が立ってしまった頃では辿り着くことができない幻の湿原にいとも簡単に行き着くことができるのは雪のあるこの時期だけである。
陽も高くなると高く伸びた梢の先に春の風が生まれて空の奥でこーっという音を立てる。その音に混じって細いせせらぎのような水の音が聞こえてくる。その音を辿ればミズバショウ咲く湿原に簡単に往き当たる。白い雪の間に黒々とした半年以上も眠っていた土が見える。その黒さは目に痛いほどだ。その黒い色の中に数限りない白いミズバショウが見えるともう足がひとりでに速くなる。
おっと急ぎすぎるのはよくない。しばしば後ろを振り向き,自分の付けた足跡を目で辿るほどの慎重さはほしい。なぜなら夏道のような道はない。雪の残る林を歩くときには付けた足跡や目印通りに歩くことだ。ひょんなことから迷うことがよくある。昔はよくカラーテープや印を付けた篠竹を立てておき,帰りに回収しながら歩いたものだ。

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春の訪れ-湿原の開口-

それにしても一番に春を告げるかわいらしいミズバショウの苞(ほう)の白い色はなんと清らかなのだろうか。自然が創るデザインには本当にいつも感心させられる。そのミズバショウたちが雪解けの水に洗われている。そして雲間から出た陽の光がミズバショウたちの周りできらきらと踊っている。リュウキンカも負けじと大柄な黄色を競っている。そしてその周りに陽の光が踊る。

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春の訪れ-湿原の開口-


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