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キツネとの付き合い方

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一番好奇心の高いキツネ

朝夕と犬の散歩をさせる私が夕方の散歩の最後に必ず立ち寄るポイントがある。
そこは南に長沼を見下ろす尾根から北向きの谷合いに坂を下りていく殆ど人も通らぬ砂利道である。谷あいになっているため降った雨は棚田状の地形を駆け下り,深い雑木林になっている湿地へと溜っていく。こんな地形の湿地をよくこちらでは谷地(やち)と呼んでいる。私たちが必ずここに立ち寄るにはわけがある。ここでキツネと話ができるからである。

先日の夕方だった。いつもキツネに会うポイントに差し掛かった時だった。遠くに雷鳴を聞いたと思ったら突然に黒い雲から激しいにわか雨が襲ってきた。もうキツネに会うことよりもずぶ濡れになっていた私たちは視界を遮るほどの強い雨の下り坂を急いだ。すると草の新しい匂いが立ちこめる刈り払いが終わったばかりの休耕田に6匹のキツネが円陣を組むように座っているのを確かめた。まず子ども3匹が私たちを確かめて,すかさず道路脇の藪に逃げ込んだ。親ともう一匹はじっと近づく私たちを強い雨越しに見つめていた。そのキツネたちの視線の奥には動じない,場合によっては戦闘もあり得るといった牽制する力があった。犬が雨を圧する程の吠え方をしたのでキツネ側もスタンバイ状態になっている雰囲気があった。

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私たちの日常の中でも偶然にキツネに出くわすことはある。
しかし大体はその一回きりの邂逅(かいごう)で終わってしまうものである。キツネも人間も忙しい現代である。
しかし出会いの回数を重ねるとキツネの示す態度や痕跡などからどんなことを考えているかが,少しずつ理解できるようになっていく。
今日はその話をしたい。
まずキツネは人間とはたりと出くわした時には大体にして軽やかに身を翻して藪に逃げ込んでいくものである。この後,人も大体は立ち去る。そこでじっと待っているといい。やつらは戻ってくるのである。または藪の中からじっとこちらの様子を伺っているのである。かれらは用心深い。用心深いからこそ出会った相手をよく観察しようとする。今までキツネとばったりと出くわした後のこと,一旦隠れて,その後また姿を現わしたことが2回ほどある。彼らは一気に遠くに逃げるのではないのである。むしろ姿を隠した後,じっと私たちを観察し,相手の出方を待っている様子がうかがえる。場合によっては遠ざかる相手を追いかけてくるものである。これは彼らの習性なのかもしれない。新美南吉の「ごんぎつね」で,兵十の後をこっそり追いかける場面があるが,あの通りである。
そして追跡中にはこちらが止まるとあちらも止まる,またこちらが動き出すとキツネも動き出す。こちらがうるさがるとキツネはその態度を読み切って追跡を止めて立ち去る。

高村光太郎が雪の上に残る足跡について書いている。
(前略)ヤマウサギの足あとで、これはだれにでもすぐわかる。いなかにすんでいた人は知っているだろうが、ウサギの足あとは、ほかのけもののとちがって、おもしろい形をしている。ちょうどローマ字のTのような形で、前の方によこに二つならんで大きな足あとがあり、そのうしろに、たてに二つの小さな足あとがある。うしろにあるたての小さい二つがウサギの前あしで、前の方にある大きいよこならびの二つがウサギの後あしである。ウサギの後あしは前あしよりも大きく、あるく時、前あしをついて、ぴょんととぶと大きな後あしが、前あしよりも前の方へ出るのである。このおもしろい足あとが雪の上に曲線をかいてどこまでもつづく。その線がいく本もあちらにもこちらにもある。小屋のそとの井戸のへんまできていることもある。井戸のあたりにおいた青ものや、くだものをたべにきたものと見える。
 そのウサギをとりにキツネがくる。キツネは小屋のうしろの山の中にすんでいて、夜になるとこのへんまで出てくる。キツネの足あとはイヌのとはちがう。イヌのは足あとが二列にならんでつづいているが、キツネのは一列につづいている。そしてうしろの方へ雪がけってある。つまり女の人がハイヒールのくつでうまくあるくように、一直線上をあるく。四本のあしだから、なかなかむずかしいだろうとおもうが、うまい。キツネはおしゃれだなあとおもう。(中略)キツネがあるくと、カラスがいればさわいで鳴くからじきわかる。
 ウサギや、キツネのほかに、イタチの足あと、ネズミの足あと、ネコの足あと、みんなちがう。ネズミの足あとなどは、まるでゆうびん切手のミシンの線のようにきれいにこまかく、てんてんてんてんとつづいて、さいごに小屋のえんの下のところへきている。これは二列になっていて、雪がうしろへけってない。イタチのも二列。
 おもしろいのは人間の足あとで、ゴム靴でも、地下足袋じかたびでも、わらぐつでも、あるき方がひとりひとりちがうので、足あとをみると誰があるいたかたいていわかる。大またの人、小またの人、よたよたとあるく人、しゃんしゃんとあるく人、前のめりの人、そっている人、みなわかる。わたしの靴は十二文という大きさなので、これは村でもほかにないからすぐわかる。ゴム靴のうらのもようでもわかる。あるき方のうまい人や、まずい人があるが、雪の中では小またにこまかくあるく方がくたびれないといわれている。両足をよこにひらいてあるくのがいちばんくたびれるようだ。靴のかかとをまげる人のもくたびれそうだ。これはからだのまがっている人、内ぞうのどこかわるい人のだ。
足跡だけで内蔵が悪いことまで分かる。たかが足跡だが,されど足跡である。さて,キツネはウサギのTの足跡を追いかけるのだが,足跡は平均台の上を歩くように一直線になるという。しかしどうやらキツネは狩りをするためだけではなく,相手のことをよく知りたいという興味関心の高さから追跡もしていると思われる。

キツネだったのか
2009.9.7

また写真のように民家近くに現われ,外灯に集まってきた虫なども食べるようだ。民家近くに出てきたキツネは各家庭の吠え方で今どこを移動しているのかが大体予想できます。
またキツネの残す痕跡にも気を付けると彼らの習性が分かってきます。糞もどこにするかで彼らのルートを予想できます。以前には豚の頭蓋骨を運んでいたのか,草むらに豚の頭蓋骨が落ちていてびっくりしました。彼らのルート上でしたからキツネが運んでいたと思われます。近くに養豚場の堆肥置き場がありました。

キツネです
2011.1.6 何かをねらっています

沼や川が結氷した時にもキツネが鳥などを狙って歩きまわることもあります。

長沼 1132-2s
歩くコースは決まっている。

ここからは以前に載せたものですが再掲します。

出会ってから二日目には,少し早い時刻に行った。
起きて来るなり伸びをして,日が出て少し暖まった土手に残る雪の上で寝そべったり,ごろごろしたりしている。かゆくなった所を雪にこすりつけたりしている。

おもむろに立ち上がるとキツネは沼の氷の上を歩いて獲物を探る。
しかし,あまり捕る気はなさそうだ。一通り歩いた後,土手沿いの道に戻った。

冬休み1227 532s
大体回るコースは同じである。立ち寄る所もほぼ同じ。立ち寄る場所ではゆっくりと匂いをかいだりする。たまに魚か何かがいるのか,そろえた前両足で地面をたたく動作をする。ネコがよく同じしぐさをすることを思い出した。双眼鏡で見ると優しい顔をしている。メスだろうか。車の音に立ち止まり,様子を伺っている。多分150m程離れている私にも気づいていると思う。しかし,無視している。

天気の良い今日は遠出をしたようだ。小一時間ほど待っても戻ってはこなかった。
                                                          以上 再掲終わり

-12℃の朝 074-2s
キツネの保線員さん


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