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新・遠野物語―栗駒山に登る―

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日の出

栗駒山に登ってきた
紅葉の季節の毎年の行事みたいに感じている
栗駒山は,近年紅葉で有名な山として人気が出て来て,実際この季節はうんざりするほど人が多い。そこで人混みを避けるルートを歩くことが多くなっていた。午前4時頃秣岳から登り,ご来光を拝み,朝の光の中を尾根沿いに栗駒山へ行くというルートだ。しかし今年は午後に用事があるためいわかがみ平からの中央コースを取った。このコースは歩きやすく夜撮影するときに使ってきた。午前4時半,うっすらと薄明の気配から登山道の石も分かる。ライト無しでも歩ける。右手になる東の方は刻々と朝の気配が地平線を明るくする。そう。人混みを避けるこつは,人の登らない時間帯に敢えて歩くことだ。夜,夜明け,ご来光,朝の赤い景色と,山で最もドラマチックになる景色を味わい尽くすことができる。日の出の光で尾根や斜面が赤く浮き上がる。谷は黒く沈んでいる。このファーストライト(一日の最初に差す光)に浮かぶ景色こそ,山の風景の醍醐味だと分かるだろう。


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標高1400m付近

中央コースは楽なコースとよく言われる。
しかし1400m付近の稜線に出てからの景色は,紅葉の季節でなくてもまた素晴らしい。東のなだらかな東栗駒山稜線からから日の出は遠くのまだ夜にある景色をバラ色に染めて朝を告げる。霧や雲があればまた格別だ。西側の御沢に切り込む谷にある丸い1259mピークや丸い塚のような小さなピークに眩しく光が当たり始める。この光が当たるところと目覚めない森の作り出す陰翳にはいつも眼を見はる。

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東栗駒西斜面に映えるダケカンバの白い樹肌

太陽の位置を確かめるように東栗駒山を見れば東栗駒山西斜面にダケカンバの白い樹肌が霧の中で一際映えて見える。この谷は新湯沢コースと呼ばれ,東栗駒山の東を大きく回って来るドゾウ沢と出合い,裏沢となって駒ノ湯へと流れていく。駒ノ湯はあの岩手・宮城内陸地震ですっかりと土石流に呑まれてしまった。それでも再建をめざしてご主人は頑張っている。

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光と影との競演

この1400m付近から残りの高度差226mは見晴らしもよく,何度も振り返ってしまう。振り返ると台地状の溶岩流の端に沿って歩いてきたことがすぐ分かるだろう。足もとは赤い火山岩に変わり,赤い石つぶてが敷き詰められている。この付近から振り返れば紅葉でよく撮られているなだらかな台地状のパッチワークの紅葉はここだとすぐ分かる。緑と赤と黄色が細かいパッチワークのように色鮮やかに見える。山頂へ高低差ラスト70mの最後の登りと思われる階段の前標高1560mに東霧駒山との合流点がある。ここまでくれば東栗駒山のヒースや黄金色の草モミジが眼前に広がって心を慰める。

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山頂の駒形根神社に手を合わせる

山頂に神社がある。駒形根神社と書いてある。現在のお社は昭和六十三年五月に奉納されたものらしい。山頂に神社があるので有名なのはこの辺りでは月山だが,山伏になった者達の声がこの山頂から響き渡り,その後,全国の村々の救済に散って行ったという。栗駒山は山伏達の堅い決意や生き様も見てきたのである。
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