FC2ブログ

ヒマワリ畑-遠藤周作と熊井啓-

DSC_0054-2-1s.jpg
ヒマワリの花に夏の光


7月22日,天皇、皇后両陛下が宮城県を訪れた。
まず全国で14か所あるハンセン病療養所の一つ「東北新生園」を訪問されたのだ。新聞にはこう書いてあった。
 ◇半世紀かけ全14施設の入所者と懇談

 天皇、皇后両陛下は22日、宮城県登米(とめ)市のハンセン病国立療養所の東北新生園(とうほくしんせいえん)を訪れる。全国には14カ所(国立13、私立1)の療養所があり、両陛下の視察は13カ所目。ただ、唯一訪問していない大島青松園(おおしませいしょうえん)(香川県)の入所者とも施設外で会っており、今回の訪問ですべてのハンセン病療養所の入所者と懇談することになる。〈毎日新聞〉
天皇、皇后両陛下が半世紀をかけて全国にあるすべてのハンセン病療養所を訪問され,自ら声を掛けられたことは病気と偏見と差別の歴史を天皇陛下自らが身をもって正そうとすることになります。天皇陛下・皇后陛下に心より御礼申し上げ,敬意を表します。
 実は東北新生園は私の家の近くにあります。不治の病と言われたハンセン病は,私の子どもの頃は「らい病」と言われていて,あまり遊びに行くなよと家の人から言われていました。それでも友達と新生園に釣りに出かけたり,虫を捕りに出かけていたのです。よく山を散歩していた新生園の人たちとも会いました。

DSC_0404_2_3_tonemappeds.jpg
夕闇迫るヒマワリ畑

新生園の近くにいて,ごく当たり前のように子供時代から過ごしてきた私が,外からの目でハンセン病に向き合うことになったのは北条民雄の「いのちの初夜」を読んでからでした。そして大変な迫害の歴史があったことも知りました。そして遠藤周作の「わたしが・棄てた・女」を読んだりもしました。自分の勉強不足を心から悔いました。遠藤周作の作品は私にいつも倫理性の高さを要求してきました。かくれ切支丹の受難の歴史は,同じ人間がどうしてこんな残酷なことができるのかと涙を流したのも事実でした。人間社会の行き過ぎた厳しさを遠藤周作はいつも見逃さず私に教えてくれていたのです。

ひまわりの丘 041s
見渡す限り

そんな時,偶然に熊井啓の「愛する」〈1997〉という映画を観ました。この映画は,遠藤周作の「わたしが・棄てた・女」を原作にしているのです。ハンセン病の絶望,差別,偏見の中で,ミツという女性の,ハンセン病患者への愛を,素直に,強くいだき続けるその姿。人間を救うのは人間。

愛する [DVD]愛する [DVD]
(2007/12/14)
酒井美紀、渡部篤郎 他

商品詳細を見る


わたしはこの映画の上映会を企画し,東北新生園に勤めている友達に相談しました。
返事は「無理だと思うよ」の一言でした。がっかりしました。
でも今回の天皇・皇后陛下の来園は,私のあきらめかけていた気持ちを強く揺り動かすこととなりました。

DSC_0099-2gs.jpg
午後の光

遠藤周作と熊井啓。
素晴らしいコンビだと思います。
日本映画の底に流れ続ける,私たちが忘れてはいけないものをきちんと伝えていく人々です。


天皇・皇后両陛下は東北新生園の奥にある納骨堂に進まれ,深く手を合わせられました。

私は知っています。その手を合わせられた納骨堂の後ろの林には今を盛りと白いヤマユリが風に揺れて天皇・皇后両陛下に優しく手を振るように揺れていたのでした。

北条民雄は「いのちの初夜」によって文学賞を受賞しました。その翌年これからというときに彼は12月に死んでしまいました。その後,川端康成によって全集が編まれることになりました。
8/7から北條民雄の出身地である徳島県で,文学特別展「北條民雄-いのちを見つめた作家-」が徳島県立文学書道館で開かれます。(そのサイトは こちら )

クリックしてね
にほんブログ村 写真ブログ ネイチャーフォトへ
にほんブログ村
関連記事