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川のほとり『哀切と痛切』

川霧川霧が上がり始め,光が差してきた

 毎日寒い景色を見ていると,ちょっと緑が入った景色を見たくなるものです。そこでストックの写真をみていたら,この写真が眼に入りました。日付は10月14日とあります。ここで尾崎放哉の一句。

 川のまん中を 草花流る

 川が膨らみながら流れている。その大きな膨らみの,なめるような水面を色とりどりの草花が途切れながら流れていく。ツツジだろうか,木の花の細かい白い花だろうか,川岸を洗ったときに流された緑の茎とアイリスのような花も見える。ある時には色の塊となって,ある時にはよどみなく続く行列のように絶えず川のまん中を花が流れていく。

 わたしは,このような光景を夢で見ました。夜の川が沈黙の中でふくらみながら流れている。暗いはずなのに川のふくらみは大きく波打ってはっきりと見える。まわりに独特の青みがかった光が感じられる。流れは実に夥しい。黒く盛り上がり,超大な塊となり次に沈んでいく。水面すれすれの私はその塊で胸がふさがれるように,息苦しくなる。その川のまん中を満開になったさくらの木がゆっくりと流れていく。白に混じり,橙や桃色の花が流れている。黒い塊の上ではっきりとそれらの色は陰翳深く見える。

 写真はこころの映像であると思う。どうしても忘れられない光景を抱いている者が,写真を撮る。そこにこころが写し出される。

今日の本
小栗康平『クローズアップ考』
哀切と痛切 (平凡社ライブラリー)哀切と痛切 (平凡社ライブラリー)
(1996/10)
小栗 康平

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