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栗駒山紅葉散歩-明恵上人の見た月-

栗駒の星 110-2gs
栗駒山に金の威容

この写真は2:55。オリオン座も随分と高く上がり薄明も近く感じる時刻に撮りました。気温6℃程です。持ってきた衣類を全部着ても寒いです。震えながら撮りました。天狗の相撲取り場から秣岳方面に歩くと見晴らしのよい場所に出ます。ここから栗駒山を見るのが好きです。西から望む栗駒山のバックは太平洋側の町並みの明かりが終夜眩しく照らしています。画面手前には紅葉の様子を懐中電灯で照らして入れてみました。

さて,9/20夜,21:57に沈む上弦前の月を友として栗駒山に登り始めました。
この夜はクリアに晴れきって今までで一番がよく見えた夜でした。栗駒山の頂上から尾根歩きをして秣岳の方へとの明るさを頼りに往復しました。栗駒山のどの場所にどんながどのように出ているのかが確かめられた幸せな時間でした。

登るにつれて藪や木々の間から月が顔を出します。
西行を読んでいたときに出会った明恵上人の歌を思い出します。
ヤウヤク中夜にイタリテ出観ノノチ,峰ノ房ヲイデテ下房ヘカヘル時,月雲マヨリイデテ光雪ニカガヤク。狼ノ谷ニホユルモ,月ヲトモトシテイトオソロシカラズ。下房ニ入リテノチ又タチイデタレバ,月又クモリニケリ。カクシツツ後夜ノカネノヲトキコユレバ,又峰の房ヘノボルニ,月モ又雲ヨリイデテ道ヲオクル。峰ニイタリテ禅堂ニ入ラムトスル時,月又雲ヲオヒキテ向カイノ峰ニカクレナムトスルヨソヲヒ,人シレズ月ノ我ニトモナフカト見ユレバ,二首
雲ヲイデテ我ニトモナフ冬ノ月風ヤ身ニシム雪ヤツメタキ

山ノハニカタブクヲ見オキテ,峰ノ禅堂ニイタル時
山ノハニワレモイリナム月モイレヨナヨナゴトニマタ友トセム
元仁元年(1224)十二月十二日ノヨルと始まるこの前詞書と歌は明恵上人52歳の時に詠まれています。
雪のある山道を登り下りする中で月が出たり隠れたりする様が鮮やかに描かれます。夜の雪の山道は足下に気を付けるのに明恵上人は山の雪道を照らす明るい月に目を上げています。自分の行く手を知らせる月をただ一人の友とします。この時代の夜はそれこそ電気もないですから漆黒の闇だったでしょう。月は闇を照らす希望という意味もありました。世を捨て,修行を積む身には自然に中に溶け込んでいる自分こそ心許なくも拠り所となっていたと思います。月ばかりが私を見ていてくれる。隠れると世の中は暗くなり,月が出ると世の中が明るくなる。自分もまたその通りの人生だ。歌そのものは稚拙です。しかし,何かその単純さに魅せられるものを感じます。

ところで,「元仁元年(1224)十二月十二日ノヨル」はどんな月が出ていたのでしょう。予想にしか過ぎませんがこの日はユリウス暦では1225年1月23日辺りとなります。満月に向かう月齢12.5の明るい月が天頂付近にあったと予想できます。月の南中が21:40ですから「中夜ヲスギテ」は夜中です。月は南中を過ぎてだいぶ下りてきている時間帯でしょう。

12250123の月jpeg
明恵上人が見ていたと思われる1225年1月23日の月(ステラナビゲータで再現)


私はよく月が沈むに合わせて山に入ります。
そして月が沈みきって天の川が一際美しく輝き出す頃に見晴らしのよい所でを眺めたいと思っています。
だから明恵上人のように月を友として歩く気持ちがよく分かるような気がします。


今日の本
『中世和歌集 鎌倉編』 新 日本古典文学大系 岩波書店 第46巻


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