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賢治と鉄道

さて,鉄道に興味を持って3か月。改めて鉄道つながりでいろいろ考え直してみると,宮沢賢治という人もかなりの鉄道ファンだったことも考えられます。今日のこの記事は以前に書いたものですが,改めて賢治と鉄道という視点で載せます。重複する部分はご了承下さい。

松島 089-2s
乗客はお日様

東北本線が開業したのは1891年9月1日です。明治24年のことです。賢治は明治29年生まれですから,東北本線が開業して5年経っていた時に生まれたことになります。賢治も物心ついた時には汽車の汽笛や蒸気機関車が走っている様子は見ていたでしょう。
まず賢治と鉄道が結びつくのは何と言っても樺太行でしょう。このとき賢治は樺太鉄道の当時の終点であった栄浜を選んでいるわけです。樺太の鉄道は賢治が樺太に旅発つ年に
1923年(大正12年)には北海道稚内市の稚内駅から大泊港駅の間を結ぶ稚泊連絡船が開かれて、その他に存在した小樽 - 大泊・真岡間、稚内 - 本斗間、小樽 - 栄浜間の民間航路などと共に、それを挟んで内地の鉄道との連絡運輸も始められた。(引用はwiki)
と,いうようにかなり整備されて往き来しやすくなっていました。その機会を逃さず賢治も樺太に旅するわけです。

また1925(大正14)年の正月に,29歳の賢治は旅に出ます。三陸海岸への旅です。
「異途への出発」という詩に,次のようにあります。
   みんなに義理をかいてまで

   こんや旅だつこのみちも

   じつはたゞしいものでなく

   誰のためにもならないのだと

   いままでにしろわかってゐて

   それでどうにもならないのだ

宮沢賢治が何かを求めて旅をするとき,そこには鉄道があったのです。
栗駒11.11 044-2gs
 まず,1925(大正14)年の正月明けの5日に賢治は旅に出ます。

 1/5 東北本線下り 21時59分発の夜行列車で、積雪の花巻を発って北へ向かいます(「異途への出発」)。

正しくもなく,誰のためにもならない旅とわかっていてもどうにもならないと賢治は言います。
そして1/6未明に八戸で八戸線に乗り換え、6時5分に種市に到着。
徒歩または乗合自動車で三陸海岸を南下する途中、暁の空に百の岬が明けた(「暁穹への嫉妬」)。
まだ夜は明けていません。少しずつ空の明るみが増すブルーアウア(薄明の青い時間)の時間帯です。
その賢治が見た空を見てみましょう。(「1925/1/6の午前5時30分の空」 ステラナビゲータによる)

1925.1.6時30安家jpeg
南東の空に土が輝き,左下には低く金,左のさらに低いところで水。そして右に眼を移せばさそり座のアンタレスが輝いています。

実際の今の時期の惑の並びと似ていて,88年前に賢治が見た空に近い空だと言う人もいます。おもしろい発見です。確かに毎年この時期は,惑が集まったり,月が,土星,スピカ,アンタレスが,と星々の共演が楽しめる季節です。賢治は一人何かを求めてこの星空を眺めたのでしょう。

朝10.24 002s

そこで詩「暁穹への嫉妬」(明け方のそらへの嫉妬)を読んでみましょう。


暁穹への嫉妬        1925.1.6   

   薔薇輝石や雪のエッセンスを集めて、
   ひかりけだかくかゞやきながら
   その清麗なサファイア風の惑星を
   溶かさうとするあけがたのそら

   さっきはみちは渚をつたひ
   波もねむたくゆれてゐたとき
   星はあやしく澄みわたり
   過冷な天の水そこで
   青い合図(wink)をいくたびいくつも投げてゐた

   それなのにいま
   (ところがあいつはまん円なもんで
   リングもあれば月も七っつもってゐる

   第一あんなもの生きてもゐないし
   まあ行って見ろごそごそだぞ)と
   草刈が云ったとしても
   ぼくがあいつを恋するために
   このうつくしいあけぞらを
   変な顔して 見てゐることは変らない

   変らないどこかそんなことなど云はれると
   いよいよぼくはどうしていゝかわからなくなる

   ……雪をかぶったはひびゃくしんと
     百の岬がいま明ける
     万葉風の青海原よ……
   滅びる鳥の種族のやうに
   星はもいちどひるがへる

詩の中の大きく太字にした「ところがあいつはまん円なもんで
リングもあれば月も七っつもってゐる 」はまさしく土星のことでしょう。土星は今は60個ぐらいの衛星があると言いますが・・・。
「その清麗なサファイア風の惑星」も「青い合図(wink)をいくたびいくつも投げてゐた」土星を賢治は見ていたのです。

栗駒山10.14 018-2s

 しかし,賢治が見た88年前の明け方の空を今見ることができるということはすごいことですね。
伊豆沼
伊豆沼 
8/31ブルームーン
月の出

この「賢治と鉄道」は続きます。


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