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読む写真 宮本常一の手法-その二 写真が語ること-

陸羽東線 201-2gs
赤い鉄橋(陸羽東線)

宮本常一の「地割り」という考え方は,土地を分けるという形で表現された人々の考え方や歴史を知る最良の考え方と言えるでしょう。外部から来て,そこに定住したり,開墾して入植した場合に,その集団内で計画的に土地を分割する思想があったのです。短冊状に区切られた土地が地割りです。宮本常一は,日本各地の景観をそこに住む人々の合理的な考え方の結果として読み込むわけです。

景観を民俗学の方法として立ち上げる
これが宮本の方法論です。
さっそく今日も写真を見てみましょう。

入学式 022-s
山口県山口市から三田尻への途中(1969.8)

田んぼの中に一軒の昔の家があります。どうやら左の母屋と右側に牛(西日本)や馬(東日本)を飼っていた駄屋が一体化した家です。屋根の形は伝統的な寄せ棟ですが,上の方に神社の千木というスタイルを残しています。このような屋根の下は瓦屋根でつながっています。では宮本氏はこの家をどう読むのでしょうか。
このように改築したのは特に駄屋の方に独立する年代の子どもや孫がいて勉強部屋として改造して使われているのでしょう。従って,この家は三世代か四世代家族が住んでいるでしょう。子どもの将来を温かく見守る家族の姿を感じることができます。このように改築した家が多い所は進学率が高く,学問を尊ぶ傾向がある。
このような読みを行うわけです。素晴らしいですね。一つの景観から人々の思想までを深く掘り出してみせる宮本氏の手法の確かさを感じることができます。

陸羽東線 414-2_22-2_fused-2-2gs
陸羽西線 立谷沢川鉄橋を往く

宮本常一は『日本の村』の前書きでこう書いています。
汽車が駅に着いたら,そこに積まれている荷物にどんなものがあるかをよく気を付けて見よ。それでその辺りの産業がわかる。また乗り降りのお客のしたくで,そのあたりの村が富んでいるか貧しいかもわかる。汽車の窓から見る家々によっても,開けているか,おくれているかを知ることもでき,富んでいるか,貧しいかもわかる。田畑のできぐあいで,まじめにはたらいているかもわかるものだ。
徹底したこの観察の極意を常一に教えていたのは常一の父です。

常一が十五歳で大阪に出るとき,この父は人生の十か条を常一へのはなむけの言葉としたそうです。
①汽車に乗ったら窓から外をよく見よ。田や畑に何が植えられているか。育ちがよいか,悪いか。
②新しく行った村でも町でも必ず高いところに上がって見よ。方向を知り,目立つものを見よ。目を引いたものがあったら,そこへは必ず行ってみることだ。
・・・
⑩人の見残したものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。
『宮本常一の写真に読む失われた昭和』佐野眞一著から

写真というものが,景観を方法として立ち上げる武器になることを改めて考えました。




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