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ご来迎

栗駒山1014 248-2gss
名取老女が見た阿弥陀様はブロッケン現象ではなかったのか

宮城県には熊野信仰と関連して「名取老女」という話があります。

遠い昔。
陸奥の国,奥州名取郡に名取老女というお年寄りの女の人が住んでおりました。
名取老女は,大変信心深く,毎年,遠い熊野まで詣でることを欠かしませんでした。
その年も連れと共に熊野の那智の宮までやって来ました。すると山あいの方から紫色の雲が湧き上がり,その雲の上に忽然と阿弥陀如来が現れたのです。

この阿弥陀如来を見た名取老女の作った歌が,「熊野御歌」として,平安末期(1125)成立の藤原清輔の歌学書「袋草子」に出ています。
道遠し年もやうやうおひにけり思いおこせよ我も忘れし
是陸奥ノ国ヨリ毎年参詣シケル女ノ年老イ後夢ニ見歌也

名取老女は,歌詠みとしても有名だったのかもしれません。それで時の人となり,その時の歌が取りあげられたのかもしれません。

更にこの出来事は,大きくなり,動かぬ伝説として,世阿弥の謡「護法」の中に「名取老女」として出て来ることになります。そしてその話を基に熊野権現影向図が描かれるようになったといわれています。

熊野信仰 002s熊野権現影向図 京都 檀王法林寺蔵,元徳元年(1329)

山岳宗教では,ご来迎と言って阿弥陀様に出会う事が何よりの最高の体験とされます。そしてその徴(しるし)としてブロッケン現象が上げられます。朝日でも夕陽でも起きますが特に立山では朝日で阿弥陀様に出会うブロッケン現象が大切と思われています。
苦心惨憺してお参りをする「名取老女」が,日が出て霧渡るという気象条件の中で,偶然に西方浄土の西に特別な色の雲が沸き立った彼方に阿弥陀如来が来迎する最高の幸せに出会ったことはブロッケン現象を介してではなかったのかと思います。


今日の写真は栗駒山で見たブロッケンです。2012.10.14のことでした。


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