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夕暮れの色『貝の火』

田んぼにも夕暮れたんぼの夕暮れ
夕暮れ沼の夕暮れ
雲夕暮れの雲(再掲)

 わたしは多くを望まない
 ただ美しい夕暮れを見ていたい
 この世の黄昏の片隅で
 ただ立ち尽くして斜めの光の夢を見る

今日の本
『貝の火』宮沢賢治
「貝の火」という賢治の作品はヒバリの子どもを助けた,ホモイというウサギの子供にもたらされた不思議な宝珠(たま)を巡っての話です。

ホモイは玉〔たま〕を取〔と〕りあげて見〔み〕ました。玉〔たま〕は赤〔あか〕や黄〔き〕の焔〔ほのほ〕をあげてせわしくせわしく燃〔も〕えてゐるやうに見〔み〕えますが、実〔じつ〕はやはり冷〔つめ〕たく美〔うつく〕しく澄〔す〕んでゐるのです。目〔め〕にあてゝ空〔そら〕にすかして見〔み〕ると、もう焔〔ほのほ〕は無〔な〕く、天〔あま〕の川〔がは〕が奇麗〔きれい〕にすきとほってゐます。目〔め〕からはなすと又〔また〕ちらりちらり美〔うつく〕しい火〔ひ〕が燃〔も〕え出〔だ〕します。
この珠は怪しく燃えて,様々な色の光を発するという。
一方,ホフマンスタールの『アンドレアス』のための創作ノートを川村二郎が取り上げ,「生命のランプ」の話をする。その「生命のランプ」というのは
雪花石膏(アラバスター)でできた球で,その中にこの場にはいない人間の血を入れると,それが動いたり光ったりして,その人間がどんな状態にあるかを示す。不幸に見舞われた時には沸き返ったり,暗く燃えるように輝いたりする。死んだときには光が消える。もしくは器そのものが粉々に砕け散る。
賢治の「貝の火」という不思議な珠,この珠は最後に砕け散ってホモイはその破片が目に入り盲しいられてしまう。そしてあまりにも似ているホフマンスタールの「生命のランプ」。一体賢治は,この珠のアイディアをどこから持ってきたのだろうか。

(川村二郎のホフマンスタールについての文章は『チャンドスの城』から引用しました。)

宮沢賢治全集〈5〉貝の火・よだかの星・カイロ団長ほか (ちくま文庫)宮沢賢治全集〈5〉貝の火・よだかの星・カイロ団長ほか (ちくま文庫)
(1986/03)
宮沢 賢治

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