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昨日と今日-「蛇神の行方」覚書き-

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吹雪

今日は私の「蛇神の行方」用の覚書きから柳田國男の取り上げた蛇の話をお送りします

「神がしばしば霊蛇の形をもって顕現したまい,人間に最もすぐれたる小児を授けたまうということに力を入れた結果,他の一面にその半神半人の小子(おさなご)が最初極度に小さく,後に驚くべき成長ぶりを示して幸福なる婚姻を成し遂げ立派な一氏族の基を開いた」柳田國男「物語と語り物」註より

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昨日の穏やかな湖面

ある百姓夫婦が薬師如来に子を禱ると葦の根を尋ねても茅の根を尋ねてもお前達に授ける児はないのだがあまりに願うゆえに脛に孕む子を一人やろうという夢のお告げがあった。それから女房の脛がだんだん太くなって,月満ちて小指ほどの男の子が生まれた。脛から生まれたからすね子たんぽ子と名を附けた。十五六になるまでちっとも大きくならなかった。それが隣の長者へ行って智恵をもって長者のうば子様(弟娘)を嫁に貰ってきた。

ところが同じ紫波地方で採集した昔話の中に隣の長者どんに嫁を貰いに行く蛇の息子の話がある。明白に蛇聟入りの別の話と結合している。

ある子どものいない百姓の夫婦が雨の日に畑に出ていると,笠の中に小さな蛇が入っていて,何ぼ追うてもまた入ってくる。ちょうど子がないので育てようと思って,家に連れ帰って鉢こに入れて養うておくと,だんだん成長して鉢に入れておかれなくなり,それからは盥に入れて次には馬槽(うまふね)に入れておいた。その蛇息子がある時父母に向かって今夜長者どんに聟に行くと言った。それから後が三人娘の末の方が嫁に来ることになった。

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今日の吹雪 昨日とほぼ同じ場所

ここで娘が蛇の夫を殺して退治するという話を読んだことは私にもありますが,続きはまた違う。

蛇は我が家に戻って藁打石の上に登り,俺はここに寝ているから,その藁打槌で俺の肝を打ってくれと言う。花嫁がそのいう通りにすると肝がパチンと弾けて向こうの隅に行って美しい青年になった。

柳田は次に佐賀県の喜左衛門という百姓の昔話を上げている。
子がないので籾岳神社に願掛けをした。そうすると満願の日に夢のお告げがあって,お前たちにはどうしても子供はできぬ。今日帰り道で最初に足にさわった者を拾い上げて養育するがよいということであった。悦んで下向する路すがら,足にさわった者は小さな蛇であった。驚きながらも連れて帰って可愛がっているうちに小蛇は人間の物を食って日一日と大きくなり,四五年もすると一丈四五尺の大蛇となって附いて歩くので村の人が怖れて付き合ってくれぬ。そこで夫婦は大蛇に,今まではお前を我が子として育てたけれど村の人達が怖がるから一時(いっとき)は身を隠してくれと涙ながらに言って聞かせると蛇は別れを惜しみつつ家を出ていった。それから年月が過ぎ,夫婦も歳を取り働けなくなった頃,田植えの時期になると塩田川の堤防が切れて川下一円の農家で農作業ができなくなった。易者を呼んで占ったところそれは喜左衛門の家の大蛇の仕業である。これからは村々の百姓が少しずつ米を出し合って老いて働けなくなった夫婦を養えば災いは止むと出た。
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