2022/11/18
雨に祟られた柳田國男の宮城旅行

今朝氷点下4℃の内沼
今朝は氷点下4℃
内沼に行った。ハスがない沼はマガン達が好き勝手に充満しているという雰囲気だ。
ハスがない分だけ鳥も居住空間が広がるようですごい数に膨れ上がっている。

今朝氷点下4℃の霜が降りた田んぼ
さて今日のタイトルは「雨に祟られた柳田國男の宮城旅行」
先回柳田國男が大正9年8月に東北を旅行したその日程などを書いたが,どうも特に宮城県に入ってから雨に祟られていたようだ。そのことを今日は書いてみたい。

国会図書館 大正九年八月の天気図から8月4日
8月4日は柳田國男が仙台に着いた。
ところが柳田を追うように伊勢湾には台風が迫っていた。この台風が東北地方を直撃して大きな被害をもたらすのです。鉄道も8月10日から12日まで不通となる程の被害だった。柳田國男の「雪国の春」所収の「豆手帖から」(東京朝日新聞八・九月)が東北旅行の様子が書かれている。ざっとその連載の小見出しを載せてみる。
仙台方言集
失業者の帰農
子供の眼
田地売立
狐の罠
町の大水
安眠ご用心
古物保存
改造の試み
二十五箇年後
町を作る人
蝉鳴く浦
おかみんの話
処々の花
鵜住居の寺
樺皮の由来
礼儀作法
足袋と菓子
浜の月夜
さて台風に祟られた宮城入りとなった柳田國男だったが,仙台から石巻と進む。そして自動車で渡波へ進み,「中一日おいて次の日は十五浜からの帰りに発動機船に乗って大雨の小やみの時に釜谷の部落を見ようとして甲板に立つ」(「子供の眼」)とある。そして飯野川である。「町の大水」はまさしく台風被害を受けて洪水に見舞われた登米か,佐沼か,一関付近である。「安眠御用心」は蚤シラミで眠ることができない旅館の一夜を憂いている。洪水被害の大きい時に柳田國男は,佐沼辺りで髙橋清治郎と会っていたはずである。

大正九年8月10日の天気図 台風による洪水被害で鉄道も止まってしまった
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ちょうど宮城県に入ると台風の影響を受けて,柳田國男は実に難儀するのです。髙橋清治郎との出会いも雨の可能性が大きいです。それも洪水の中の出会いの可能性も出て来ました。ちょっと可哀想な気がします。
のちにこの天気一覧と柳田國男の旅行日程と合わせてみますが,「失業者の帰農」「子供の眼」「田地売立」「狐の罠」「町の大水」「安眠御用心」「古物保存」「改造の試み」「二十五箇年後」「おかみんの話」辺りが宮城県の話である。
とにかく折角宮城県に来たのに,雨に祟られたとは残念。

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