2023/01/05
写真に深度をつくる表現

写真の地層 深度1
まず,上に掲げた「深度1」という写真を見ます。
普通私たちは一枚の写真を見たときに直感的にその写真を理解しようとします
何を写そうとしたのか
テーマは何か
写真のリアリティーはどうか
ピントは合っているか
画面の構成は無駄がないか等
それらは写っている物の明確さや力強さによって伝わってくると考えます
一枚の写真の表現は鑑賞者に一つのまとまったテーマとして訴えてくるように読み込まれていきます。
しかしです
そのような写真の鑑賞の仕方や読み方は正しいのでしょうか
写真にはそれ以外にも埋め込まれた深さが秘められています
つまりそうした鑑賞者の理解へと向かわせる表現とは別の次元の深さがあるような気がします
例えば,このマッス(かたまり)と化しているピントが外された領域は一体何だとか
浮かび上がる曖昧さのかたまりはどうしてこんな色なのか
輪郭が消え,ただのグラデーションとなった物体の本質とか
テーマに引きづられることのない世界の現在が露わになってきます
分かったつもりになればなるほどあなたの自分勝手な解釈の序列化の中にすべてが階層化されていく
そこで,次に「深度2」の写真を見て下さい

写真の地層 深度2
「深度1」の写真のピント位置を数㎜変えるだけでこのようになります
全く違った印象になり,視点は今度は奥の血管のように浮き出た葉脈に向かいます
この写真の読み解きは1枚目の「深度1」と違ってくるでしょう
数㎜のピントの違いだけで,この写真の表現者の持っているテーマがまた違って理解されるようになるでしょう。
まとめます
写真の理解とは表現者の意図を汲み取りながら構築されていきます
今日の場合,数㎜のピントのずれが鑑賞者にどんな理解の変化をもたらすのか
表現する者はファインダー内で細部に渡る計算をします
その計算から出てきた表現が鑑賞者の読みにダイレクトにつながっていきます

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