2023/02/19
一人野に立つ

雪降る
人は誰もが自分を縛っているものから解放されていたいと願っています
それが自由への道です。これはある面で自分自身の持っている幻想や偏見に向かってでもあるし,実際に外から来る世界の不合理についても,たった一人きりで世界に戦いを挑むことも意味しています。つまり自分自身をひたすら浄化させていく意志と勇気と行動が必要なのです。
仕事に就いていた頃は組織の中の制度や役職に無自覚に守られていた自分を敢えて反省することはありませんでした。むしろ一生懸命に義を通した仕事を心掛けるような面もありました。しかし,今そのような組織の後ろ盾もない一人の一般人になって活動していこうとすると様々な不合理に直面することが多くなりました。少し例を挙げてみます。
・写真展の展示場所を借りるために,企画書を持って申請のため市役所の担当部所に行きました。すると,開口一番「金は出さないよ」と言われました。来る人は皆補助金目当てで来ると思っているようでした。
・地区の総会でのことです。コロナのために書面議決になりました。記入する最後の項に自由記述欄があったので改善の一助と思って書きましたが,その意見は総会資料の中には没にされて意見は無視されました。都合の悪い意見は載せないようにしてもよいという基準が勝手に役員達の間で取り決められたようでした。
・最近,妻が亡くなってもう5ヶ月も経つというのに妻の自動車保険の請求が来ました。亡くなって車も保険も新しく名義変更したのに,
その情報は更新されず保険の制度上のことだから払えという保険会社からの返事でした。いつ情報は更新されるのでしょうか。変更の手続きを済ませたのに5か月も前に死んだ者にまた請求をよこす,その失礼さに憤然としました。
例を挙げると切りがありません。

凍結した長沼
県の主催する会議について必要があって調べてみました。
全49名を擁する会議です。どうも会議の人数構成に地域偏差があり,正しく農業従事者や地域住民の声が伝わっていないように思えていたのです。すると地元関係者が会議に軒並み連続して欠席していることが分かりました。どうしてこのような状況になっているのでしょうか。分かりません。
私が思うのは,ある組織を構成すると,その委員の選定や内容の議決が組織の目的に自然と合うような流れに飲み込まれるということではないのかということです。例えば工事をするために環境アセスメントを行うとします。その環境アセスメントは合目的的に工事を中止させるための方向性を持つよりも,工事を完了させる方向に自然と合うようになってしまうのがむしろ自然の流れです。ここに中立で公平な環境アセスメントを目的のために取り入れるという構造があります。何が悪いというのではありません。自然と組織というものは合目的的に効率的に働くように動き始めるのです。地元の意見を聞くという名目で委員を選定したり,説明会を開いたりしますが
それは目的に合うようにベクトルが働く前提があってのことです。

雪の中のアトリ
何の役職も地位も持たない一人の私は,まず何の権力も持たないようにして,言われなく自分の考えが人に利用されたりせず,良いと思われることに一つ一つ取り組みたいと思っています。
「一人野に立つ」という百姓の精神が私は好きです。宮沢賢治の親友に藤原嘉藤治がいました。彼は一流の音楽の教師でありながら賢治の死後,職を辞し,東京で賢治全集の編集に力を入れ,終戦の年,49歳で岩手に帰りました。そして,生まれ故郷の紫波郡水分村の東根山麓に開拓で入植しました。爾来81歳で死ぬまで土にまみれた人生をおくったのです。あのハンサムで音楽の教師として秀でた藤原嘉藤治が様々な組織の後押しを受けず,自分ただ一人となって開拓の山奥に入っていった。これもまた賢治の遺志を継いだのだと思います。
権力や地位を捨ててただ一人になり,野に一人立つ。
自由への道はまだまだ遠いのです。

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