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宮澤賢治写真帖-1923,3,20- 

宮澤賢治写真帖
この「宮澤賢治写真帖」は,宮澤賢治が見たであろう景色を,再び私が幻のように見たという考えから写真が構成されていくという試みです。
 私はいつも,賢治の作品を読み終わった後,独特な静かに残る『心の澱』のようなものを感じてきました。その,心でゆらめいている澱を写真で再現してみたい。こんな景色になるのでは・・・という発想に基づいた試みが,この宮澤賢治写真帖です。ですから,あくまでフィクションであることをみなさんにお断りしておきます。
 今日のタイトルは「1923年3月20日」。トシが亡くなって約4か月たったある日。賢治はトシが亡くなってから6か月間も作品を書いていません。いわば賢治にとって空白の6か月間です。その空白の6か月の中の一日。3月20日は,早春のとある一日です。まだ寒い日が続いていますが,どことなく春の気配が感じられる日もあります。そんな日の夕方。賢治は散歩に出て,沼のほとりに来ました。昨年のハスが立ち枯れて残っています。ふと立ち止まるとそこに夕焼けのように彩りの残った雲が水面に映っています。立ち枯れたハスと水面に映った雲。
「トシ子」と小さく呟くように賢治は言いました。

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