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セッケイカワゲラ

栗駒山4.15-3 700s栗駒山から(4/15撮影)
いよいよ梅雨明けかという,むしむしした天気が続いています。そこで今日はひんやりした写真で,「むしむし」の虫の話です。

山は2月の間に劇的な変化を遂げます。
あれほど狂っていたかのように吹雪が続いていた山が急に静かに晴れ上がる日が訪れます。2月下旬のことです。この後,春は一気に訪れます。
セッケイカワゲラセッケイカワゲラ
天気のよい日,ほどよく締まった雪の上を歩いていると,何処からか飛んで来たのかと思われるコンチュウを雪の上で見ます。セッケイカワゲラです。よくこんな雪の中で生きてるものだと感心してしまいます。むしろ生き物が雪の上で生きていること自体が驚きです。標高も1300mを越えています。
栗駒山4.15 215ss
セッケイカワゲラ拡大
このセッケイカワゲラ。wikiにはこう書いてありました。
セッケイカワゲラは襀翅目クロカワゲラ科の一種(Eocapnia nivalis Ueno)のことを、またはセッケイカワゲラ属(Eocapnia属)すべてを指す。俳句では雪虫として春の季語。高山のものは雪渓虫として夏の季語。
 雪氷生物学という学問があるそうで,東工大の幸島司郎先生がこのセッケイカワゲラを研究しているんだそうです。ちょうど幸島先生のインタビュー記事を見つけました。そこからセッケイカワゲラの生態を引用してみます。
幸島-そこで改めて冬山の雪の上を観察すると、なんと雪の上にも虫がいることに気付いたんです。初めて雪山で見付けた虫が、僕が卒業論文で研究したセッケイカワゲラでした。セッケイカワゲラは、カワゲラの仲間で体長1センチくらいの、羽根が無い真っ黒い虫です。初めて見た時、こんな小さな虫が、どうしてこんなに寒い中を動けるのだろうかと思いました。
というのも普通の虫は、寒いと動けません。例えば普通の蝉を冷蔵庫に入れたら、ぴたっと黙って、長く置いておくと死んでしまう。だから最初は、天気が良い日に雪の上に出てきて、太陽光を浴びて体温を上げているのかと思いました。ところが体温を測ってみると、気温が0度の時は体温も0度。考えてみたら体重あたりの体表面積が大きいので、熱力学的に見ても周囲の環境より温度を高く保つことは出来ない。
調査の結果、セッケイカワゲラは、-10~+10度位の温度範囲で活動することが分かりました。だから、彼らは体温が+20度位になると、暑くて死んでしまいます。雪山で捕まえたセッケイカワゲラを手のひらに乗せていたら動けなくなってしまうのです。つまり、彼らは寒くても生きられるのではなく、寒くないと生きられないのです。
セッケイカワゲラが春に卵を生むこと、卵から孵った1ミリにもならない小さな白い幼虫は、夏場でも水温10度位の川底の砂の中に潜って、秋までずっと眠ること、そして秋になると、落ち葉の堆積物を食べて成長し、川が雪に埋まってしまう12月半ば位に親となって上陸することが分かりました。つまり、この虫は、普通の昆虫とは逆の生活史を持っており、夏に寝て冬に活動するんです。また、普通の水生昆虫の成虫は、3日程度、長くても2週間位の儚い命で、親になった時点ですでに卵や精子が成熟していて、あとは卵を生むだけ。餌もほとんど食べません。だから消化管が退化して、中には口が無いものまでいます。ところがこのセッケイカワゲラは雪の上を何ヶ月もうろうろしながら、春の雪解けまで生きている。しかもセッケイカワゲラは口も消化管も立派だし、上陸した時点では、メスはまだ卵が産めない状態なんです。雪の上で微生物を食べ、生活していくなかで成熟していく。そうして、雪が融けて埋もれていた川がオープンになった時に、初めて交尾して産卵する。
おもしろいですね。温度変化の少ない水の中で進化してきたコンチュウの中でもまた異色ではないでしょうか。

インタビュー記事は こちら 。

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