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今年のべストセラー『聞く力』

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 このブログのサブタイトルは「星あかりで静けさの音を聴く」ですが,「静けさの音を聴く」というのは,見えたり,聞いたりしたものをその通りよりは,その奥に隠されてあるものを見届けてみたいという思いがあったのだ思います。
 しかし,これは実に難しいことです。
 野山に出掛けていって,おいそれとめあての生き物に出会えるはずはありません。けもの道を見つけたとしても行った時にキツネやタヌキやアナグマが「はいはい。」と言って顔を出してくれるわけではないからです。写真を撮る人は,今までの経験や天候,時刻などの条件を考えて出掛けていきますが,こちらだけが考えた勝手な条件など,うまくヒットするはずもありません。それというのも自分がまだ相手(鳥だったり小動物)のことを全然理解していないからです。
朝0114 014s
 実は,人と話しているときにも,こんなことはよくあります。みんな自分の考え方だけで質問を組み立てて,相手のことを考えていないという時です。特に相手が初対面だったりすると,順序よく,無駄がないようにと構え,結局字面だけの挨拶程度のことしか残らなかったり,こちらが聞きたかったことが引き出せなかったりすることが沢山あります。こんなはずじゃなかったと後悔しても後の祭りです。
 今年のベストセラーの第1位は阿川佐和子さんの『聞く力』77万部というニュースが昨日あって,読んでみました。様々なインタビュアーとしての阿川さんの今までの経験からのヒントが書かれていました。おもしろく書かれてはいましたが,聞くということはことばの端々に現れる相手の心を引き出すことであるという技の難しさも感じました。私たちは自分の言いたいことだけを言えるような訓練は教育の中で受けてはきましたが,聞くという訓練はあまり習ってこなかったようです。だから,聞くということは,往々にして批判的に聞くことになり,まるで相手を説得して自分の考えの味方にする的な無味乾燥な話も成立するに至っては,あんな人と二度と話したくないという気持ちを抱かせることにもなります。こんなことしてたら,孤立するために人間付き合いしているようなものです。

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)
(2012/01)
阿川 佐和子

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 この本には相手の心を大切にする聞き方が具体的に書かれています。しかし読んだ後思うと,インタビュアーの人柄こそが相手の心をやがて開かせるという聞き手の方の成熟も問われています。
朝0114 044s凍てついた朝(2月)
 東日本大震災以来,実は「聞き取り」という基本的な姿勢が現在を伝えるために見直されつつあるような気がします。この聞き取りのときに,何より大切なのは「相手が話しているときに,話の腰を折らない。」ことなんだそうです。関係ないことを話していると感じても,よく聞いていると次々と宝の山のように大切なことが出て来るといいます。的確に概念的にまとめて言える人なんていません。生きているという姿がそのまま歴史なのですから。

 一枚の写真に心惹かれるということは,その人の琴線に触れるという奥深い次元のことなのだと改めて思いました。

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